歴史でみる白衣のはじまりと進化

看護師というと、白衣のイメージが強いのではないだろうか。そんな白衣の起源は、古代インドまでさかのぼるといわれている。紀元前のインドでは、医師が白い服を着ていたそうだ。だがその後、長い期間にわたり白衣は息をひそめることとなる。

ヨーロッパでは、医師は儀礼服でもある黒いコートを着用していた。衛生観念は薄い時代で、死体を触った手も洗わずに、そのまま病人の治療にあたっていたほどで、清潔な白衣を着用するという考え方そのものがなかった。むしろ黒い服は汚れが目立たなくて便利だったのではないかという意見もある。

今から100年ほど前の1900年代半ば頃、衛生の重要性について理解が深まるとともに、医師の服装が黒から白に変わった。看護師の制服も、ワンピースに白いエプロンというスタイルに変化した。ナイチンゲールの時代もこのスタイルが主流であった。やがて、ワンピースとエプロンの組み合わせは、白いワンピースへと進化していった。

看護師が白衣を着る理由には諸説あるが、まず考えられるのが清潔感があるからだろう。次に汚れが目立ちやすいというのも白い服を着る理由だ。黒っぽい服を着ていると、血液がついたり、オムツ交換の際に排泄物がついても気づきにくい。白い服なら汚れを発見しやすいため、すぐに汚れを落とせる。

現在では、動きやすいスクラブが人気となっている。また、白衣を見ると緊張して血圧が上がる「白衣性高血圧」と呼ばれる症状があったり、白衣に冷たいイメージを抱く患者もいる。実際、そのような患者への配慮として、カラフルな制服を取り入れる病院が増えてきている。